ベートーベンの難聴

ベートーベンは父親や甥などの人間関係で悩むことがありましたが、最大の苦難といえば、やはり難聴ではないでしょうか。聴覚障害は、音楽家にとって致命的な病気です。現在でも聴覚障害のある音楽家はごくわずかであり、ベートーベンは聴覚障害の代表的人物です。

ベートーベンの難聴(つづき)

ベートーベンが難聴になった理由として、いくつかの仮説があります。1つは、父親であるヨハンによる厳しい教育によるものです。ベートーベンは父親ヨハンから、幼い頃から音楽を教え込まれており、その教育は苛烈を極め、耳を殴られることもありました。

難聴の2つめの理由は梅毒です。梅毒は15世紀ごろからヨーロッパで流行した病気で、 ベートーベンは母子感染した梅毒患者だったと言われています。

梅毒の病状の1つに難聴があります。また、梅毒による精神的な影響も、大いに関連したのではないかと言われています。梅毒の潜伏期間と、ベートーベンが難聴を発症した時期も当てはまります。

もう1つの説として鉛中毒があります。ベートーベンが生きていた当時、ヨーロッパでは鉛を甘味料として使っていました。鉛中毒の病状にも難聴があります。また、ベートーベンが悩まされていた腹痛や下痢なども、鉛中毒が原因だったと言われています。

音楽家にとって大きなハンデとなる難聴ですが、ベートーベンは特製ピアノを作って克服します。

ベートーベンは口に指揮棒をくわえてピアノにつけ、それによってピアノの音の強弱を感じながら作曲を続けました。

メトロノーム

ベートーベンが愛用したものの1つにメトロノームがあります。ベートーベンは30歳ぐらいには、ほとんど耳が聞こえなくなりますが、メトロノームによって「振動」という形で音を感じることができました。

メトロノームと出会う前、ベートーベンは打楽器によって音を把握していました。打楽器の振動は他のオーケストラの楽器によって打ち消されてしまいます。

オーケストラの指揮もするベートーベンにとって、これは大きな問題であり、悩みでもありました。

ですがメトロノームは曲の速さを「視覚」によって理解することができました。難聴者であり、オーケストラの指揮者であるベートーベンにとって、メトロノームはまさに必要不可欠の道具といえます。

楽譜

メトロノームは1816年、ヨハン・ネポムク・メルツェルによって発明されました。当時のメトロノームは現在と違い機械式だったため、湿度の影響をうけ、速さが狂うことがありました。また、メトロノームの部品の精度によっても、速さが違ってきたそうです。

ですが、難聴者であるベートーベンはメトロノームを愛用し、1816年以降に作曲した作品には、すべてメトロノームの速さ指定がされています。

しかし、このメトロノームの速さ指定は、ベートーベンがメトロノームを使って作曲した曲の速さです。実際には、とてもスピードが速いため、演奏することができない速さ指定だったそうです。

ベートーベンがメトロノームを愛用し、曲に速さを指定することにより、メトロノームが有効な道具であると音楽家達に認められることになります。


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